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執筆者の写真じょ〜じ

イエスの風 No,64

 日々のニュースに一喜一憂することが多いのです。明日のことが分かりません…。それは、とても不安なことです。けれど、それでも、私たちのやるべき事は変わりません。ふと気付けば、大切にすべきことは一つです。それは、今日という日を大事にすること。共に居る仲間を大切にすること。非日常に振り回されることを止めて、いつもの日常を丁寧に過ごしてみるチャンスです。ひと息、ひと生き…丁寧に積み重ねる。心を込めて日常を熟す。食事、洗濯、睡眠…、いつも当たり前にしていることを、ゆっくりと愛を込めてしてみるのです。どうか、今週も主の平安があなたを支え、主があなたに力を与えて下さいますように。共に立ち続けましょう。

マタイによる福音17章1~9節「立ちなさい。恐れることはない。」


 「恐れることはない」主イエスは言われる。何度も繰り返して言われる。「恐れることはない」私たちは、恐れます。恐れない日は無いと言うほどに…。自分の理解を越えたこと、予測できない事態に触れる時。身の危険を感じる時。自分が思っている程に大した存在ではないことを知る…、この世界が自分を超えた大きな何かによって導かれていることを知らされる。自分の小ささ、無力さを知り、自分が生きている世界が、自分の手に負えない程大きく、得体が知れないことを知って…。恐れは、私たちが、自分を越えた大きな何かに出会う時に起こる。恐れは、自らの小ささにおののく人間の証し…。私たちは、恐れる…。恐れる者…。私たちは、神ではない…ことを証ししている。

 イエス様と弟子たちに危機が迫る中、イエス様は三人の弟子を連れて山に登った。そこで起こった出来事は、イエス様が死者の中から復活されるまで、一緒に居た弟子たちの心の中に仕舞われていて、誰にも話されることがなかった…。イエス様が太陽のように光輝き、モーセとエリヤが現れた。三人が共に居て語り合っていた。そして、弟子たち諸共、光の中に包まれて、神の声を聞いた。「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。これに聞け」(5)圧倒的な光の中で、神の声を聞く…。これがどんな経験だったのか、私たちには想像がつかないだろう…。それは、弟子たちの反応から計り知るしかない…。「弟子たちはこれを聞いてひれ伏し、非常に恐れた。」(6)彼らは、倒れ伏した…。立って居られないほどの恐れに包まれた。存在が揺らぐほどの経験…。どうして良いか分からず、何も出来ず、自分の立って居られる場所を失った…。これを何に例えることが出来るだろう。とんでもない嵐や地震を経験する時に味わう恐れ…。予想することが出来ない哀しみに襲われた時のこと…。何も手に着かず、今経験していることが嘘のように思えて、自分が何処に居るのか理解出来なくなるようなことだろうか…。人が神と出会うと言う経験は、まさにそのようなこと。恐れ、倒れ伏すようなこと。それは同時に、自分が小さな存在であること、限りある人間であることをまざまざと知らされることなのだ…。弟子たちは、倒れ伏した。神の圧倒的な偉大さ、その臨在の中で…。彼らは死をも覚悟し、恐れた。神を見た者は、死を覚悟する…と聖書は語っているのだ。

 私たちは、恐れる…。未知の存在、自分の理解を越えたこと、自分に死をもたらす程の大きな力に…。私たちは、恐れるほどに小さな存在。しかし、主イエスは、恐れる者に近づいて来られる。「恐れることはない」倒れ伏す私たちに近づき、手を伸ばし触れて下さる。その肩に触れ、「立ちなさい。恐れることはない」そう言って立ち上がらせて下さる。

 「恐れることはない」顔を上げれば、そこに主イエスが居る。主イエスは、「恐れることはない」と言うために来られた。この言葉は、主イエスのいのちの言葉。この言葉の故に、それが真実であることを証しするために主イエスは、十字架に向かわれた。そして、主イエスは、すでに死んで、復活されたのだ。主イエスの復活の朝、「恐れることはない」と言う言葉が実現したのだ。

 「恐れることはない」人は、恐れに支配されて生きる者ではない。恐れの中で立ち上がることが出来る。主イエスが立ち上がらせて下さる。神は、私たちを恐れさせ、倒れ伏させることを願ってはいない。立ち上がり、生きることを願っている。「恐れることはない」それは、恐れてはいけないと言うことではない。「恐れの中で立ち上がれ」と言うこと。立ち上がって、神の御心を果たすのだ。「完全な愛は、恐れを締め出す。神は臆病の霊ではなく、力と愛と思慮分別の霊を私たちに下さった。愛することに徹するのだ。」

 今日、神の声が響く。「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。これに聞け」神の子、主イエスは、恐れの中に立ち、倒れ伏すあなたに手をおいて言う。「立ちなさい。恐れることはない。」

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